欧州環境規制

 ■ はじめに

 2005年に入ってから、特に自動車・電気関連メーカーより、部品・材料の各取引先へ
 Cd等環境汚染物質の非含有証書の発行依頼が多くなされている。

 もちろん、RoHS・ELV等の欧州指令が発端となっている。

 1.ELV指令(End-of Life Vehicles:廃自動車指令)
  自動車及びその部品の再利用・リサイクル等を義務付。
  その中で、
特定有害物質の使用制限があり、200371日以後は確実にする事。

 2.WEEE指令(Waste Electrical and Electronic Equipment:廃電気電子機器指令)
  電気電子機器廃棄物の再利用・リサイクル等。
2003813日には、指定マークの適合製品
  への貼付及び製品回収・リサイクルを製造者へ義務付。

 3.RoHS指令(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and          electronic equipment:電気電子機器に含まれる特定有害物質使用制限指令)
  
200671日以降、上市される新しい電気電子機器は特定有害物質の非含有保証が必要。

  (欧州指令:加盟国を拘束するが、手段は加盟国に委ねられている。各国で法律を制定する)

 欧州指令の内容

 WEEE指令・ELV指令 の和訳
 
JETROレポート「WEEE指令 及び ELV指令」

 WEEE、RoHS、ELV、REACHの概要と企業での対策事例
  
JETROレポート「欧州環境関連法制度の概要と事例研究」

 原文等
  日本電子「世界の環境規制」

 

 閾値(しきいち:最大許容含有量)
 
ELV RoHS(予定)
カドミウム 100ppm 100ppm
鉛・水銀・六価クロム 1000ppm 1000ppm
ポリ臭化ビフェニル
ポリ臭化ジフェニルエーテル
1000ppm

 RoHS指令では「含有していない」事と定められているが、実際には上記閾値が採用される予定。

 欧州議会のTAC(技術適用委員会)で紛糾しているのは、閾値ではなく除外品目だそうです。

 

 ■ 分析方法

 国際規格は、IEC(International Electrotechnical Commission)にて検討中で、2005年末には決定予定。
 基本的には下記日本提出案が採用される見込みだそうです。

 蛍光X線分析にて金属元素のスクリーニング(概略定量)を行い、
 問題のある場合 は更に精密分析(ICP,AAS,GC/MS 等)を適用。

 

 ■ 対応手段

 一番簡単な対応は、使用材料のMSDSで回答する方法ですが、ある程度は確認の分析が必要と思います。
 分析センター等へ依頼すると、蛍光X線のスクリーニング(5項目計)で1万円程度です。
  日本環境(株)「RoHS/ELV規制物質の分析」

 私が勤務する研究室には、蛍光X線(島津製:EDX-700HS)がありましたので、精度確認をしてみました。
 フィルターを使えば、Cd:20ppm〜Pb:100ppm程度の検出限界で、スクリーニングには十分だと思います。